2020年09月 月別アーカイブ記事一覧
- 「子どもへのまなざし」を読む 93
2020.09.30
『保母さん、幼稚園の先生へ』 (続き) 親と子どもの両方の幸せを考える 私は若いころ、カナダの大学病院で子どもの精神医学の訓練をうけたのですが、これはいい訓練をうけたと自分で思っていることがあるのです。ひとりの子どもと親がきたとしますね。そうすると、たとえば、私が子どもの係をすると、もうひとりの同僚の若い医者が親の係をするのです。それからスーパーバイザーがいるのです、上級の医師がいるのです。そして... - 「子どもへのまなざし」を読む 92
2020.09.29
『保母さん、幼稚園の先生へ』 (続き) はじめに親の幸せを考える 今年の梅雨にはすごい雨が降りましたね。どしゃぶりの日もありました。バケツの水をひっくり返したようなという表現が、ぴったりするようなある雨の日のことです。 お母さんが保育園の園庭をはさんだ向ごう側の門の前まで、車で子どもを送ってきました。そして、車のドアをいそいで開けて、子どもに「さあ走っていけ」といって、保育園まで走らせたそうです。... - 「子どもへのまなざし」を読む 91
2020.09.28
『保母さん、幼稚園の先生へ』 (続き) 子どもをしからないがまん そういう子どもはどういうことをしがちかと申しますと、周囲の人に自分のほうに目を向けてもらおうという気持ちをいっぱいもっています。ですから、保母さんに目を向けてもらうには、手段を選ばずどんなことでもするということがよくあります。自分のほうに、保母さんの目を向けてもらういちばん効果的な方法は、保母さんがいちばんいやがることをわざとするこ... - 「子どもへのまなざし」を読む 90
2020.09.27
『保母さん、幼稚園の先生へ』 (続き) 自分の希望をかなえられた子とそうでない子 自分の希望を十分に満たされなかった子どもは、それだけ人にたいする不信感と、自分にたいする無力感が大きくなります。それから、自分に自信のない子どもになります。さらに、まわりの人が信じられない子どもになります。こういう感情をもってしまう過程については、前にもお話してきましたね。そういう子どもが成長したときに、どうなるかと... - 「子どもへのまなざし」を読む 89
2020.09.26
『保母さん、幼稚園の先生へ』 保育にたずさわることの価値 自分が望んだことを望んだとおり育児されている子ども、基本的信頼感がしっかり育まれている子どもは幸せです。乳児期から早期幼児期に、自分が望んだことを望んだとおりにやってもらえて育てられた子どもは、いちばん幸せなのです。そういう子どもは、自分で自分のことを好きになれるのです。 どうすれば、子どもが自分のことが好きになれるかというと、自分の... - 「子どもへのまなざし」を読む 88
2020.09.25
『豊かな社会がもたらすもの』 (続き) 会話をつうじて人とくつろぐ ものの豊かな社会に住めば住むほど、いやなことがあるとすべて人のせいにしたくなる傾向になるということはお話しました。さらに、それに過密な社会になると人間関係が稀薄になるということもお話をしてまいりました。 高度成長をへて、日本は豊かな社会になるとともに、地域社会の構造も変化し、人口の都市集中はとどまることがありません。大都市では、電... - 「子どもへのまなざし」を読む 87
2020.09.24
『豊かな社会がもたらすもの』 (続き) 過密社会になると人間関係が希薄になる やはり文化人類学者の友人が指摘していることのなかに、こいうことがあります。人間には、過密社会に住めば住むほど、人間関係を稀薄にしていく、よそよそしくしていくという特性があるのだそうです。人間というのはそういうものなのだそうです。過密社会とは、国によっで多少事情はちがうところはあるかもしれませんが、一般的には、ものの豊かな... - 「子どもへのまなざし」を読む 86
2020.09.23
『豊かな社会がもたらすもの』 (続き) いやなことは人のせいにする傾向 これは、文化人類学者たちが私たちに教えてくれたことですが、なかなかするどいことを指摘してくれています。人間というのは、どこに住んでいても、どういう人種であっても、どこの国の人であっても、そういうこととは無関係に、物質的、経済的に豊かな社会に住んでいる人間ほど外罰的になる、あるいは他罰的になるというのです。それは人間というものの... - 「子どもへのまなざし」を読む 85
2020.09.22
『豊かな社会がもたらすもの』 (続き) 怒りの感情だけが強くなる 人といっしょに、ささいなことでも大きく喜べる、小さな不幸を深く悲しめるというのが、私はとてもだいじなことだと思っているのです。ところが、現代人は喜びと悲しみの感情を、どんどん失いつつあるようなのです。そうすると、人間というのは、あらゆる感情を失うかというと、まったくそうではなくて、怒りの感情をとても強くしていくのですね。ですから、喜... - 「子どもへのまなざし」を読む 84
2020.09.21
『豊かな社会がもたらすもの』 (続き) 喜びの感情を失ってしまった そういう若者たちに会ってみると、彼らはしばしば、喜びや悲しみの感情を、失ってしまったようにみえるのです。喜びを感じる感情、感性が稀薄になってしまった、一見すると、感情の起伏がなくなってしまったようなのです。ところが一方では、怒りをとても感じやすくなっているのです。喜びと悲しみを感じなくなって、怒りをとても強く感じるようになっている...