「子どもへのまなざし」を読む 32 - かわいがり子育て

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「子どもへのまなざし」を読む 32

子どもの望んだことを満たしてあげる
 乳児期の子どもは、自分ではなにもできない、ただ泣くことによって親
に、うったえることしかできないということをお話してきました。そして
子どものうったえには、全部こたえてあげる必要があると思います。なに
よりもそのことが、人にたいする信頼感にもなるし、自分自身にたいする
自信にもつながることになるのです。
 子どもの立場からみますと、親にやってほしいことはたくさんあります
赤ちゃんのときなら夜中におっぱいがほしい、だっこやおんぶをしてもら
いたい、あやしてほしい。すこし大きくなれば、絵本を読んでもらいたい、
にはハンバーグをつくってほしい、Aちゃんの家へ遊びに連れていってほ
しい。これらのことをひとつ残らず、すべてかなえてやるのは、容易なこ
とではありませんし、また、じっさいには不可能なことかもしれません。
 親はそのつど、自分の価値観に照らし合わせて、どの要求を満たしてあ
げるかを、取捨選択をしているわけです。その際、とくに重要なことは、
親自身にしかできないこと、つまり、他人ではかわってやれないことを、
できるだけたくさん聞いてあげることです。乳児期であれば、おっぱいが
ほしいときにすぐ飲ませてくれた。幼稚園の昼食のとき、弁当のふたをあ
けた瞬間に、自分が愛されていることを感じとれるような、心のこもった
お弁当をつくってもらった。このような心の満ち足りた依存経験を、十分
に親から与えられた子どもは、それだけ親のいうことをよく聞きますし、
また、必要なときの親ばなれや自立もスムーズにいくようです。
 そのことは、長い年月の臨床の場で、小学生、中学生から、高校生やそ
の先の青年たち、そしてその家族の人たちからも、私は教えられて続けて
きました。10年も20年も、定期的に継続的に保育園や幼稚園で幼い子
どもに出会ってきて、さらに保育者や両親の相談にものってきた結果、本
当にそう思うことなのです。

 新しい章に入りました。書き出しは、前章の「乳児期は子どもの要求を可能なかぎり、要求どおりに聞きいれてあげることが、子どもが豊かに人を信頼し、そして自分を信じていける子になる」というかわいがり育児の基本を再確認をしながら、しかし、「すべてかなえてやるのは、容易なことではありませんし、また、じっさいには不可能なことかもしれません」とそのことのむつかしさの事実にも触れています。

 ではどうするか、「親自身にしかできないこと、つまり、他人ではかわってやれないことを、できるだけたくさん聞いてあげること」だと対応策も提示されています。

 この親自身にしかできないことをとおして、心の満ち足りた経験を与えられることで親離れや自立につながっていくのです。

 次の節から、乳児だけでなく幼児期の子どもも含めたお話になります。よろしくお付き合いお願いします。では、また。


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