「子どもへのまなざし」を読む 90 - かわいがり子育て

かわいがり子育て ホーム »  » 「子どもへのまなざし」を読む » 「子どもへのまなざし」を読む 90

「子どもへのまなざし」を読む 90

『保母さん、幼稚園の先生へ』 (続き)
 自分の希望をかなえられた子とそうでない子
 自分の希望を十分に満たされなかった子どもは、それだけ人にたいする
不信感と、自分にたいする無力感が大きくなります。それから、自分に自
信のない子どもになります。さらに、まわりの人が信じられない子どもに
なります。こういう感情をもってしまう過程については、前にもお話して
きましたね。そういう子どもが成長したときに、どうなるかということも
考えなくてはいけないことです。
 そういう子どもたちのことですが、たとえば保育園でなにか悪いことを
したという場合、私たちはしかりますね。その子が明らかに悪いことをし
たり、ルール違反をしたというときに、みなさんがしかったとします。そ
のとき、その子がまわりの人に不信感の強い子であれば、敵意と攻撃的な
感情をもちやすいのです。そして、ひねくれたり、すねたり、いっそう劣
等感をもったりというような感じになってしまいます
 乳児期に自分の希望を十分に満たされないことの、子どもに与える大きな課題が提起されています。何か悪いことをしたり、気を付けて欲しいことがあって、注意をされたり、しかられることをすなおに聞けない子どもになっているのです。しかし、これは子どもだけではありませんね。私たち自身も、他の人から何か言われることに過敏に反応するようになっている気がします。考えさせられます。
 ところが、乳児期に自分の希望が満たされる保育をされてきた子は、「
K子ちゃん、それはいけませんよ」としかっても、「はい」、「あ、いけ
ない」と、それだけの気持ちですんでしまうのです。それは、相手の人に
たいする基本的な信頼感が大きいからです。そして、しかった先生に、敵
意や攻撃的な気持ちをもたないし、ひがんだり、すねたり、劣等感をもっ
たりという、感情のゆがみのようなものも残さないのです。
 相手にたいする不信感と、自分にたいする自己不全感、劣等感などが強
い子どもの場合は、残念ながらそうはいきません。ですから、そのまま大
きくなってしまえば、しかることがとてもむずかしくなります。そして、
しつけをすることが徹底的にむずかしくなります。極端なことをいえば、
しつけられないという状態にもなります。もういちど、乳児的な依存状態
からやり直さなければならない、ということにもなるのです。ようする
に、どうしてあげたらこの子は、人を信頼する子どもになるのだろうかと
いうことから、やり直しをしなければなりません今日、保育園にはそう
いう子どもがたくさんいると思います。したがって、小学校にいくように
なって、親や先生にしかられたり、しつけをされたり、訓練をうけたりす
るときに、子どもたちがどう反応するかは一人ひとりちがってくるので
す。
 養護施設にいると、まさにそのことを感じます。スタッフから注意されたり、友だちから何か気に入らないことを言われると、過敏に反応して興奮してしまったり、時には暴れてスタッフに暴力をふるう子どもも何人か思い浮かびます。しかし、佐々木先生のおっしゃる、もういちど、乳児的な依存状態からやり直さなければならないということは、現実的には大変困難な状況が、養護施設の実情であることもまた事実です。
 保育園時代、幼稚園時代の大切さを思い知らされます。続きます。ありがとうございます。 
関連記事
コメント
非公開コメント