「完 子どもへのまなざし」を読む 18 - かわいがり子育て

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「完 子どもへのまなざし」を読む 18

二 人間関係の発達と課題 (続き)
乳児期 (続き)
 基本的信頼が豊かに育つ時期
 人間の人生の重要な部分は、乳児の時期にその多くが決まりますワロ
ンは喜びの共有体験からコミュニケーションの感情の発達がはじまる
といいましたウィニコットはお母さんから自分に与えられている愛情
に安心すると、幼い子どもはお母さんから離れても不安を感じないで、ほ
かの人ともまじわりができるようになるといいました
 そしてエリクソンは、この時期の子どもの発達課題は「基本的信頼
育てることが、とても重要なことと考えました。では、基本的信頼とは何
といいますと、たとえば、乳児期の赤ちゃんは自分では何もできません
から、おっばいがはしい、おしっこがでてしまって、おむつがぬれて気持
ちが悪い、あるいは退屈しているとき、寂しいときには、泣いて自分の望
んでいることを伝えます。
 そのときお母さんがきて、すぐおっばいがもらえる、おむつを取りかえ
てもらえる、あやしてくれる、抱っこをしてくれる。こういうことは、
ちゃんのほうからみれば、自分の望んだことを望んだとおりに、なんでも
やってもらえたということです。別の言い方をすると、自分が望んだよう
に愛されたということですね。赤ちゃんにとっては、自分が望んだことを
望んだとおりにしてもらえたということは、望んだとおりにしてくれた人
を信用する、信じることになります
 赤ちゃんのいうことを、なんでもかんでも聞きすぎると、依頼心が強く
なって、努力しない子どもになるのではないか、と心配する人もいるかも
しれませんが、そんなことは絶対にありません。ほとんどのことが自分で
は何もできない赤ちゃんのときに、どんなに子どもの要求することを聞い
てあげても、何ひとつマイナスにはなりません大きくなって思春期、青
年期になったとき、全部プラスになります
 エリクソンは人間というのは、人生のはじまりにおいて、自分が望ん
だように育てられれば育てられるほど、生きる希望がわいてくる基本的
信頼の中身は希望ですといいましたが、自分が最初に出会ったお母さん
をはじめ何人かの人に、自分が望んだように愛された子どもは、人を信じ
ることができる、人を好きになることができるのです。
 基本的信頼の基盤である、人を信じる力については、「人を信じる力と
自分を信じる力は、表裏一体のもので片方だけということはない信じる
ことができる人をもてないと、人間は自分も信じることができなくなる
ということも、エリクソンは解き明かしました
 この本を最後まで読了していませんが、おそらくこの部分が、この本の中核部分ではないかと私は思います。
 自分自身と周りの人を信じる力を身に着ける育児こそ、佐々木先生が説いてやまない、かわいがり子育ての基本だと、子どもの相談を半世紀近くやらせていただいて、身に染みて感じています。
 そういう育児をしてくれる人に出会うことによって相手と共感する感
情を育てることができます。この共感性という感情があるから、相手に対
する思いやりとか、相手の喜びを自分の喜びにすることができ、大きくな
るにつれて、相手の悲しみ、苦しみを思いやることができる感情へと発達
していくのです。
 ところが一般論として、現代の親は愛し方がとても下手になりました
子どもが望んでいるような愛し方をちゃんとできる親は、本当に少なくな
りました。親のほうが、自分の望んでいることを子どもに押しつけようと
します。たとえば、夜泣きをしない赤ちゃんになってはしい、離乳食をち
ゃんと食べてほしい、おむつを汚さない赤ちゃんになってほしいなど、自
分が望んでいるような子どもになってほしいという感情がとても強いので
ともあります。
 子どもの望んでいるようなお母さんになってあげよう、子どもの望んで
いるようなお父さんになってあげようという感情が、近年、日本人は弱く
なりました日本人は、基本的信頼というものを育てる力が本当になくな
りました
 自分が喜ぶことを相手も喜んでくれる人に育児されたい、という子ども
の感情は、三歳くらいまで持続して発達するものです。それ以後になった
ら発達しないというものではないでしょうけれど、その時期に、いくらや
ってもやりすぎということはないのですから、みなさんは、その子が喜ぶ
ことを一緒に喜んであげてください。そして、その子が悲しむことを一緒
に悲しんであげてください乳幼児期の育児とはこういうことです
 日本人が、基本的信頼というものを育てる力が本当になくなりましたという指摘は、本当に悲しくなってしまいます。なんとか、そういう傾向に歯止めをかけ、子どもたちの基本的信頼を育てられる育児を取り戻せるよう、私にできることに取り組みたいと思います。よろしくお願いします。続きます。
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