子どもの「花」が育つとき 66
第4章 つぼみのころ ◆1歳半ごろ~2歳半ごろ◆
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* 夫婦円満が最高のしつけ
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「思いやりのある子に育てたい」
親なら誰しもが願うことですが、
人に対する思いやりや優しさは、子どもに理屈で教えられるものではありません。
お父さんとお母さんが、
互いにいたわりあい、相手を思いやる気持ちを持つ――
そんな両親の姿を見ながら、子どもはごく自然に、
思いやりの心や、優しさを身につけて、素直にすくすくと育っていくものです。
お子さんをはじめ、ほかの人には優しく穏やかでも、
なぜかご主人には冷たく当たるお母さんがいますが、
これでは子どもに、人への優しさ、思いやりは育ちませんよ。
和やかで温かい家庭の雰囲気をつくるのは、
お父さんよりも、やはりお母さんのほうが上手です。
たとえば、「行ってきます」と機嫌よく会社に行ったお父さんが、
帰宅したときには、ひどく不機嫌になっていることがあります。
おそらく会社で、上司から無理な仕事を押しつけられたとか、
得意先から嫌味を言われたとか、部下から反抗されたなど、
何かいやなことがあったのでしょう。
こんなときのお父さんは、
朝は活発に働いていた知的脳細胞――感情を抑えようとする脳細胞も、
すっかリエネルギー切れとなり、あたかも2歳児のように自己中心的になっています。
ですから、お母さんが「遅いじやない」などと小言で出迎えようものなら、
たちまち感情的になって「うるさい!」と応酬してきます。
お母さんがイライラしているときでも、
お父さんの帰宅時は、気持ちのスイッチをパチリと切り替えて、
「おかえりなさい。お疲れ様」と、温かく出迎えてあげてください。
そして、そのときもし、お父さんが不機嫌そうな顔をしていたら、
「ははあ、いま2歳児と同じ気持ちになっているな」と察して、
お母さんのほうが知的脳細胞をフルに働かせてみる――
同じ土俵で闘わないようにするのです。
小言を言いそうになったときも、2歳児のしつけのことを思い出して、
命令口調にならないように話すのが、知恵ある妻です。
「そんなものわかりのいい妻になんてなれないわ」などと、おっしゃらないで。
「柔よく剛を制する」ということわざがあります。
女性のこんなちょっとした知恵が、
それこそ、男性のひとつ上を行くことになると思います。
どうか「知恵ある妻」に、
そして子どもに対しては「知恵ある母」になってくださいますように。
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あけましておめでとうございます。
年の始めのお話としては、人間関係の最も基本的な関係である夫婦についてのお話であり、なおかつ夫である私としては大変ありがたいというか、嬉しいお話です。長いこと児童相談所を始めとして、子どもの相談に関わってきた者としては、お子さんの相談に見えたお母さんで、夫婦円満な生活を送っているお母さんには出会ったことがほとんどなかったと言えるでしょう。もちろん、全くなかったとは申しません。例えば障害を持ったお子さんを育てているお母さんなどの中には、ご夫婦で協力して一生懸命育てておられる円満なご夫婦もおられました。でも多くの場合は、よくお話をお聞きすると、お父さんに対する、不平や不満を口にします。恩師の野田先生も「家族の基本は、夫婦である」というのが口癖でした。相互信頼、相互尊敬、目標の一致と相互協力の大切さを言われました。
男性の努力ももちろん必要ですが、夫の対してはどうか「知恵ある妻」に、そして子どもに対しては「知恵ある母」になっていただきたいと心からお願いいたします。
今年もお出かけいただきますようどうかよろしくお願いいたします。
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2022-01-03 │ 心を軽くする言葉 │ コメント : 0 │ トラックバック : 0 │ Edit