育(そだてる) 64 - かわいがり子育て

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育(そだてる) 64

5 赤ちゃんはいつも"学んで"いる
                                                       ソニー・ファウンダー 最高相談役 井深 大
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* 「言葉以前の教育」母親にしかできない
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 一章と二章では、心や能力のつくられる時期についてふれてきました。以前に出版した『あと半分の教育』という本で、私は「言葉以前の教育」ということを述べましたが、生まれるまえから、また生まれたそのときの一分、一時間のあいだにも、赤ちゃんが多くのことを吸収して、文字どおり身につけているということは、以前に『0歳からの母親作戦を書いた当時の推論の域を脱してまいりました

 たとえば、時実利彦先生は日本の大脳生理学の大家で、私たち素人にもわかりやすい本をたくさん書いてくださったかたですが、一九七三年に亡くなられるすこしまえに、「胎教というのは大脳生理学ではどう考えたらよいのでしょうか」と質問したところ、「母親の脳と胎児の脳とは、直接神経繊維で結ばれていません。したがって、お母さんがどんな刺激を脳に受けても、胎児に直接影響しないというより仕方がないでしょうねとおっしゃいました。時実先生の時代、大脳生理学では、主に神経繊維上の電気信号の伝達について研究がなされていたのです。

 しかし、その時実先生のもとで学ばれ、現在は京都大学名誉教授の大島清先生は、脳とホルモンなどの化学物質の研究を進められ、電気とは異なった信号の伝達がお母さんと赤ちゃんのあいだに起こっている事実から、胎教に関する本を記されています
 たとえば、お母さんにストレスがかかると、それがホルモンの分泌に変化を起こし、賠の緒をとおって流れ込む血液の成分濃度の変化となって胎児の状態に直接影響しているというのです。

 言葉以前の教育というのは、教育というよりは、声をかけたり、お乳を与えたり、抱いたりといった、毎日の育児そのものをいうことになります。
 しゃべれるようになって何かを教えて覚えさせるというまえに、赤ちゃんは言葉で教わる以上のことを受け取っているはずです。胎内でさえ、吸収しているものがあるのです。となると、言葉以前の教育というのは、従来の早教育の概念ではまったくカバーしきれないものといえます。

 その点、まえに例にあげた教育熱心な父親たちも、極端に幼いときから子どもに教育を始めたのですが、「子どもが言葉がわかるようになると同時に始めた……」という記述がほとんど見られます。「子どものオ能を伸ばすためには、まず言葉を理解させ、言葉で説明して教えなければならない。幼児期の能力の逓減しないうちに言葉を使いこなせるようになれば、教えたことは驚くべき吸収力で学習していくことができる。だから言葉を教えることがまず必要である」――というのが、共通した考え方でした。

 事実、どの天オ児も、たとえ十歳以下であっても何力国語も自在に読み書きができ、むずかしい書物もどんどん読みこなしていきました。そうしてますます知力を高めることができたわけです。
 強制的にではなく、子どもに興味を持たせる工夫をしたり、子どもの成果を親が喜ぶために、子どものほうが一生懸命に学習していったのです。
 ですから、上手に与えれば、子どもは苦労なしに言葉でもなんでもどんどん覚えていきますし、それがひじょうに効率的であることはたしかなのですが、私たちがこれから考えなければならないのは、言葉だけで子どもが育っているのではないということです。
 いや、言葉がしゃべれるようになる以前に、お母さんと赤ちゃんの絆をとおして学習したことは、もしかすると、言葉による教育以上のものがあるのかもしれないのです。

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 今日のお話はとても興味深いと私は思います。毎日の育児そのものが言葉以前の教育であるという考え方を普通はあまりしないしないような気がするからです。私の中では、育児と教育は別のものという先入観があるからなのでしょう。毎日の育児そのものが、早教育とどのように結びついていくのか、さらに読み進みながら理解できればと思っています。ますます、期待が高まる思いです。

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