育(そだてる) 65 - かわいがり子育て

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育(そだてる) 65

5 赤ちゃんはいつも"学んで"いる
                                                       ソニー・ファウンダー 最高相談役 井深 大
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* 母親の愛情が、子どもの人間性を育てる
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 赤ちゃんかお腹の中で何をどんなふうに受けとめているのか、実際には、いまの私たちには想像するしかありませんが、学問のうえで解明されていなくとも、さまざまの例からも、またお母さんがたの実感からも、赤ちゃんとお母さんとの絆が結ばれていることは明らかです

 通常、言葉が使いこなせるようになると、私たち人間はその言葉を使って意思の伝達を行ないます。動物と人間の違いは、言語という意思の伝達手段を持つことにあるともいいます。
 しかし、「目は口ほどに物をいう」「殺気を感じて思わず振り向いた」といわれるように、意思の伝達にはかならずしも言葉が要るわけではなく、また言葉を使わないほうが低級だということもないのです。とくに、人柄を育てるためには、この、言葉を使わない意思の伝達ができるという絆が、欠くことのできない条件だと思います。

 おおかみ少女、アマラとカマラの話はいろいろな書物で取りあげられていますが、ある意味でこれと対照的なイザベルという少女のことが、アメリカのオハイオ州で記録されています
 イザベルの母親は、口もきけず耳も聞こえない人でした。そのため、イザベルが生まれても、その家族は、母子を世間の目から隠すために牢獄のような真っ暗い部屋に、六年半ものあいだ監禁していたのです。
 イザベル自身はどこにも異常のない赤ちゃんだったのですが、このような異様な状態で六年半もすごしてきたため、発見されたときは口もきけず、見知らぬ人には敵憮心を燃やして凶暴性をむきだしにするといった具合で、おおかみ少女そのものという様子でした。その行動は、生後六カ月の赤ちゃんなみでしかなかったといいます。

 ところが、メーソンとデビスという二人の医師が、この不幸な娘を必死に教育したところ、じょじょに語彙がふえ、何年か後には日常生活を送れるようなレベルに達したというのです。話し相手もなく、暗闇と静寂の中でしかすごしたことのないイザベルが、人間生活に溶け込むことができたのはなぜなのでしょう

 イザベルには、お母さんとのスキンシップだけは豊富に与えられていたということです。
 耳も聞こえず、話すこともできないお母さんは、イザベルの泣き声を聞くことも、優しく話しかけてやることもできなかったのです。
 それでもお母さんは、赤ちゃんを抱きしめながら心の中で赤ちゃんに語りかけていたはずですそれがイザベルの頭と心を刺激して人間としての心を育てていたということではないでしょうか。

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 今日のお話のイザベラについて、寡聞にして知りませんでした。児童の相談を仕事にしてきた者としてはこのブログを始めさせていただいて、先達の本を読みながら知らぬことの何と多いことかと改めて感じ入るばかりです。しかし、そのおかげでこの歳になって学ぶことの多さに嬉しさも併せて感じます。人としての心をどのように育てていかなければならないかにも思いをはせることができる気がします。今般、テレビをつければウクライナ侵攻の話ばかりです。自らの正義の名のもとに、戦争に訴える国の指導者に人間の心は育っていないことを忸怩たる思いで感じるばかりです。 
 人としての心を育てることの大切さを声を大にして訴えていくしかないのでしょうか。
 早、週末です。週明けには少しでも良いニュースが聞けることを心から願います。良い週末をお過ごしください。
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