育(そだてる) 77 - かわいがり子育て

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育(そだてる) 77

6 五ケ月の胎児はお母さんの声に反応する
      -子育ては胎児教育から始まる
                                                                               京都大学名誉教授 大島 清
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 * 母親がアルコールに酔えば、胎児も酔って脳の成長が阻害される
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 妊娠中にお酒を飲んだり、タバコをすってはいけないことは、もうほとんど常識といってもいいでしょう。しかし、アルコールに関しては、すこしぐらいならいいだろうと思っている母親は少なくないかもしれません。しかし、たとえナイト・キャップ一杯のアルコールでも、胎児にしてみれば″飲んで″ほしくありません。母親がアルコールを飲むと、胎児も酔ってしまうからです。
 母親の体の中のいろいろなものは、胎盤から胎児の体にはいりますが、なかでもとくにアルコールは通りやすくなっているのです。しかも、胎児は肝臓の働きが弱いので、アルコールを分解することができません脳も無防備ですから、母親が毎日アルコールをとりつづければ、アルコールは脳の中にどんどん蓄積していきます
 こういう症状を胎児性アルコール症候群といいますが、これは、知恵遅れや奇形、小頭症、発育不全といった障害児を生む原因となるたいへん恐ろしいものです
 臨床的にも、お酒を毎日三〇ccほど飲み続けると、生まれた赤ちゃんの一〇パーセントは胎児性アルコール症候群になり、毎日六〇ccなら二〇パーセントがなるというデータがはっきり出ています
 アルコールは胎児の脳の発達にさまざまな悪影響を及ぼしますが、とくに注意していただきたいのは、妊娠初期から中期にかけてです。それは、この時期に胎児の脳に大脳皮質ができるからです

 大脳皮質は一層から六層までありますが、 一番内側の第六層から、第五層、第四層……というように順番に発達していきます最後に一番外側の第一層ができて完了となります。ふつう、妊娠四カ月ごろに最初の第六層ができはじめ、七カ月半ほどで全部できあがります
 ところが、アルコールの影響を受けると、発達の順番が狂ったり、あるいは、第六層、第五層はうまくできたけれど、高等な働きをする第一~第二層はうまく発達しなかったりということが起きてくるのです。これは、ネズミを使った実験で確かめられています。
 大脳皮質の中でも、前頭葉というところは、ものを考えたり判断したりするのに関係のある部分です母親がアルコール依存症のため、胎児の前頭葉が正常に育たなかったとしたら、生まれてくる赤ちゃんは知恵遅れになってしまうわけです。
 前頭葉だけでなく、大脳皮質のほかの部分がうまく発達しなければ、たとえば運動機能がうまくいかなかったり、視覚に障害があらわれたりしてきます

 多量の飲酒がいかに危いかについては、一九八四年にアメリカで発表された報告があります。胎児性アルコール症候群になった赤ちゃんが生まれる率は、 一般的には赤ちゃん千人のうちの○.四~三.一人であるのに対し、アルコールをたくさん飲む母親の場合はなんと二十四~二十九人にもなるというのです。それだけ、生まれてくる赤ちゃんがハンディキャップを背負う可能性が高くなるわけですから、くれぐれも飲酒は避けたいものです。
 アルコールは脳の発達に影響を与えるだけにとどまりません。この報告はまた、ビール小びん三本、またはワインをグラスニ杯毎日飲んでいる母親の死産率は、まったく飲まない人の二倍多くなり、流産率も三倍になるという事実も証明しています

 タバコの害にも、恐ろしいものがあります。十代の若いタバコ好きの女性から生まれた赤ちゃんは「新生児突然死」にかかる割合が高いという、背筋が寒くなるような事実をご存じですか。これは、胎盤を通して胎児の脳にはいってきたニコチンが、脳の呼吸をつかさどる部分の発達を阻害するからです。生まれた後、突然、呼吸障害を起こし、生命の危機にさらされてしまうのです。
 また、 ニコチンは血管をボロボロにするので、胎児の血液循環が悪くなり、発育不順になる可能性があります心臓に異常を起こすことさえあるのです

 もう一つ、 つぎのようなデータもあります。タバコをすっていて、しかも避妊用のピルを服用している女性の場合、十万人あたりの赤ちゃんの死亡率は四十五歳以上の母親で百八十人、三十五~四十四歳の場合でも五十人というのです。ピルを飲む、タバコをすうという習慣が二つ重なると、胎児にたいへんひどい害を与えるということです。

 それ以外にも、麻薬も胎児の脳をボロボロにする毒物です。たとえば、ネズミを使った実験で、麻薬を飲ませると、脳が半分ぐらいの大きさにしかならないことがわかっています。脳の中には、 エンドルフィンという自然に含まれている麻薬物質がありますが、これは、どうも脳の発達をコントロールする働きがあるらしいのです。
 ですから、母親がもし麻薬をすって多量の麻薬物質が胎児の脳にはいってしまうと、多すぎる麻薬物質が脳の発達をおさえてしまうのです

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 今日のお話は、背筋が寒くなるようなお話です。昨日のお話の「血液脳関門」の機能がまだ備わっていない胎児にとっては、お母さんの嗜好品がとんでもない悪影響を与えるということです。タバコはともかく、お酒は百薬の長などと言われることもありますが、ネットでみますと、どうやらその説の根拠も必ずしも確かなものではなく少量の飲酒でも健康被害を生む可能性が否定できないという記事も見当たりました。とすれば、飲酒は胎児に悪影響を与えるのみならず、お母さんにとっても何らプラスはないということになります。お酒にしろ、タバコにしろましてや麻薬などのように、お母さんの健康によくないものはが胎児にとってもよくないに決まっています。当たり前のこととして、心したいですね。

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