育(そだてる) 80 - かわいがり子育て

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育(そだてる) 80

6 五ケ月の胎児はお母さんの声に反応する
      -子育ては胎児教育から始まる
                                                                               京都大学名誉教授 大島 清
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* 胎児の脳細胞は、生まれてからは増えない
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 胎児のもつさまざまな能力についてお話ししてきましたが、どんな能力であっても、それをつかさどっているのが脳だということは、誰でもご存じでしょう。
 ひとくちに、人間の脳細胞の数は約一五〇億個といわれています。これは正確にいえば、″大脳皮質の神経細胞の数は約一五〇億個″ということです。
 脳には、大脳のほかに小脳などもあることは言うまでもありません。ですから、脳全体の神経細胞の数は一五〇億個よりもはるかに多くなりますが、なんといっても、他の動物とくらべると、圧倒的に人間が多いのです。
 また、脳には、神経細胞のほぼ五倍、つまり八〇〇億個にものぼる″グリア細胞″というものがあります。このグリア細胞も、脳の中で重要な役割を果たしてくれていますが、猛烈に増えていくのは生まれてからです。

 しかし、脳の主役は、なんといっても神経細胞のほうです。ふつう″脳細胞″と言ったときは、この神経細胞をさします。
 神経細胞の数について、なぜこのようなことをお話ししたかというと、じつは、この一五〇億個は胎児のうちにすべてつくられてしまうからです。生まれてからは、新しいものがつくられて数がふえるということはありません。また、こうした神経細胞が何らかの原因で死んでしまっても、それに代わるものが再生されるということもありません
 これが体の他の部分ですと、人が成長するにしたがって、新しい細胞がどんどんつくられていきますし、古くなった細胞が死ねば、それに代わる新しいものがつくられていきます。しかし、こと脳にかぎってはまったく違っていて、胎児のうちにつくられた神経細胞は、生まれてからは、その数がふえるということはないわけです。

 こうしたことは、すでにご存じの人も多いでしょうが、胎児教育を考えるうえで、これほど重要なことはないと思いますので、あらためて強調しておきたいのです。
 つまり、胎児教育とは、胎児期の脳の発達が順調に行なわれるように注意し、胎児の脳の発達を妨げるようなことを防ぐのが、もっともだいじなことだといっても、けっして過言ではないでしょう。
 たとえば、女性であれば、健康診断などのⅹ線検査のまえに、医者から妊娠の可能性について、聞かれることにお気づきだと思います。女性のほうでも、妊娠している可能性があるなら✕線はもちろんのこと、風邪薬や頭痛薬などの薬を飲んではいけないことをご存じの方は多いでしょう。
 なぜ、✕線検査や薬を飲むことがいけないのでしょうか。答えは簡単です。妊娠初期、 つまり胎児が成長する初期の段階で、✕線や薬の影響を受けると、胎児の細胞が破壊されたり、損傷を受けて、以後の成長がスムーズにいかなかったり、狂いを生してくるからです。

 ご存じのように、胎児の生命は、母親の卵子と父親の精子が合体してできた受精卵という、たった一つの細胞から始まります。この受精卵が分裂して二つになり、さらに分裂して四つになるというように、細胞の数がどんどんふえていくと同時に、脳のもとになる細胞、内臓のもとになる細胞というぐあいに、細胞の形や働きも分かれていくことで、胎児も成長していくわけです。
 そして、生まれる直前には、大脳皮質の神経細胞の数だけでも、約一五〇億個になります。
 受精から出産まで、二六六日のあいだに、このような成長をとげるのですから、胎児の脳の成長のスピードがいかに早いかということがおわかりいただけるでしょう。それとともに、このように、たった一個の受精卵という細胞から、細胞分裂をくり返しながら胎児は成長していくだけに、胎児の細胞に悪影響を及ぼすことがあれば、とくにそれが早い時期ほど、胎児には致命的なことになりかねないということがわかると思います。

 とくに胎児の脳についていえば、初期の段階で何かあれば、生命の危機すら招きかねません。また、大人の脳は、二十歳を過ぎると、毎日約一〇万個ずつ減っていくとよくいわれます。 一〇万個という数をみると、それだけでふつうの人は、「そんなに数が減ってだいしょうぶか。バカになるのではないか」と心配しますが、それだけで″バカ″になったりすることはありません。それも、胎児のうちに一五〇億個という膨大な数の神経細胞をつくっているからで、毎日一〇万個ずつ神経細胞が減っていっても、脳そのものの働きにはたいした影響を及ぼさないからです。
 しかし、この一五〇億個の神経細胞が胎児のうちに順調に発達しなかったり、数が大幅に減ったりすれば、これは大問題です。

 ふつう女性が妊娠に気づくのは、生理が順調な人でも、生理の遅れを気にして、しばらくたってからです。「もしかしたら」と医師の診断を受け、妊娠を告げられたときは、すでに妊娠三カ月日にはいっていることがほとんどです。つまり、胎児の成長にとって重要なニカ月間というのは、母親自身が気づかないまま過ぎてしまうことが多いのですだからこそ、✕線検査を受けるまえに、妊娠の可能性についてたずねられるわけです

 ですから、胎児教育について、私の理想を言わせてもらえば、妊娠に気づくまえから、母親は胎児教育を始めてほしい、ということです
 言いかえれば、妊娠の可能性のある女性はすべて、胎児が何を求め、胎児の成長を妨げるものは何かということを知っておいていただきたいのです。

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 今日のお話は、胎児の脳の成長のスピードの驚くべき速さについてと、それだけに妊娠初期に脳の成長の妨げになるような事態を防ぐことの重要性や大切さについての確認です。特に最後の段落に述べられている大島先生の願いはまさにそのとおりだと思います。妊娠の可能性のある女性はすべて、胎児が何を求め、胎児の成長を妨げるものは何かということを知っておけるようになるような対策を、国をあげて取り組んで欲しいと願いたいですね。あるいは、すでに行われているようなら実効が上がるような工夫をして欲しいですね。
 ゴールデンウィークが終わって最初の週末です。天気予報では、地域によっては大雨の予報も出ているようです。無事に過ごせますよう願っています。今週もお立ち寄りありがとうございます。週明けもお待ちしています。

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