「子どもを伸ばすかわいがり子育て」を読む 34 - かわいがり子育て

かわいがり子育て ホーム »  » 子どもを伸ばすかわいがり子育て » 「子どもを伸ばすかわいがり子育て」を読む 34

「子どもを伸ばすかわいがり子育て」を読む 34

 5章 子育てが喜びとなるために (続き)

 人の喜びや悲しみがわかる感性とは

人の喜び悲しみを自分の喜び悲しみのように感じることが大切です。人間関係の基盤じゃないでしょうか。

 イエス・キリストは自分を愛するように隣人を愛せと言いましたが、なかなかできないこと、不十分にしかできないことですが、不十分でもできる限りするという努力を人はしないといけないだろうと思います。その中で子どもが育っていき、結局友だちの気持ちになれる、相手もこちらの気持ちになってくれという感情の中で友情というか、人間関係が育っていきます。そうすると当然一人でいるより友だちの中にいるほうが喜びであり、安らぎである。小さいときほどそうです。」


 人間関係の基本は、お互い同士が相手の気持ちになれる、相手の気持ちがわかるとということですね。


 「思春期・青年期には一人でほっとくつろいで思索にふけったり孤独を楽しんだりすることもありますが、孤独と孤立の違いは、呼びかけるといつでも反応してくれる友人がいるという安らぎがあるのが孤独だと、私は考えています。

 そういう友人を持てないでいる場合は孤立です。孤立は精神保健の非常に悪い状態です。

  孤独とは成熟するにつれて、時に必要なことです。」


 孤独と孤立、よく似ているようですがまったく違っているということです。友人が持てない状況に置かれるわけですから精神衛生上よいわけがありません。


「適切な孤独の時間を楽しむことができれば、少年期を迎えたときに、仲間の中にいることは喜びと楽しみであり、くつろげると同時に刺激的で、いろんな感動を体験できることだと日々実感するようになります。だから友だちと別れ今日はおしまいとなると、残念だね、だからまた明日もねという余韻を残して友だちと別れられる、つまりこのことが翌朝目覚めがよくなるということにつながります。今日も友だちとの生活が始まるんだという気持ちになります。

 こういうことを優先課題にしなければ、算数ができようが、理科や外国語ができようが、子どもをきちんと教育していることにならないのですが、日本人はよほど強く意識しながら子どもを育てていかなければならない時代になってしまったと思います。」


 友だちとの良い関係を持てるように育てることの大切さです。しかも、そのことが簡単にはできにくい時代になってしまっているという警告です。


 遊ぶ時間を惜しんで勉強した子はむしろ危ない

「これは先ほどからお話ししていることの結果なんですが、ある意味では友だちとの関係でもくつろげない、感動や喜びを感じられない小学生時代を過ごしてしまうことは、勉強やお稽古事など親が望んでいることがどんなにできても社会人になつていくプロセスを考えると、将来がとても心配です。

 あるとき、たまたま山陽新聞を読んでいましたら、「ランチ・メイト症候」ということが書かれていました。私はそのとき初めてこの言葉を知りましたが、精神科医の町沢静夫さんがおっしゃっています。大学生、OL、ビジネスマンで、特に女性に多いそうですが、ランチタイムに仲間を誘うのがつらい逆に誘われないのもつらいというものです。

 ものすごいジレンマになって苦しんでいるこういう人が増えている。だから就職や通学を断念する人もいるそうです。東大でもそうだと。

 ですから、遊ぶ時間を惜しんで勉強したなんていうのはむしろ危険です。」


 友だちと楽しく過ごすことができず、親の期待する勉強ができ、お稽古に励む子ども時代を過ごしてしまうことについての警鐘です。


遊ぶ時間の合間に最低限の勉強をするというのが、小学校時代では一番健全だと思います。

 そうすると遊び放題遊んで、怠け放題怠ける子どもになってしまうと思っている親がいますが、これは間違いであると私たちは知るべきでしょうね。」


 遊ぶ時間の合間に最低限の勉強をするというのが、小学校時代では一番健全とは、子どもたちが聞けば「やった!」と声をあげるかもしれませんが、親も先生も首を縦に振るとは思えませんがどうなんでしょう。佐々木先生はこういう親たちを間違いであると知るべきとおっしゃっています。


「インターネットを通じてのやりとりは人間関係の疑似体験ですが、ある程度慰められている青少年もいます。しかしそれによって犯罪につながることもあるわけです。

 私は今までプラスの面を見ていました。全く孤立しているのではなくて、つながっているという疑似体験でも安らぎだから、ないよりあるほうがましだから。それによって癒されている人もいるのです。

 しかしバーチャルな体験でなくて、本当のリアルな体験に踏み出してくれるようなプログラムを私たちは考えなくてはならないと思います。」


 今回のコロナウィルス感染対策の一環として、ネットを通じての新しい関係づくりが進められているように感じています。直接顔を合わせ、言葉を交わすのではなく、テレビやパソコン、スマホの画面を通してつながっていくという経験がどのような人間関係を作っていくのか、よくわからないまま気になっています。

 お考えをお聞かせいただければ嬉しいです。

 お付き合いありがとうございます。今日はこの辺で。

関連記事
コメント
非公開コメント

No title

私も、明日子どもについての記事をアップする予定ですが、物事はメリットもあればデメリットもあるものが多く、何が正しいかを判断するのは容易ではないですよね・・・・

佐藤亮子さんは、4人のお子さんが東大理3に合格されていますが、学年は違うものの娘と中学受験塾が同じだったので、当時から教育熱心な方だということは存じ上げていました。
著書をちらっと拝見すると、お子さんがその日にやる問題集のページまで指定するなど、高校生になっても親主導の受験勉強だったようですが、親子関係は良好のようですし、お子さんが大きく挫折したという噂も聞かないので、今のところはそんなに問題ないのだろうなと思っています。

2020-06-02 20:09 │ from utokyo318URL

No title

いつも貴重なお考えありがとうございます。

ご指摘のとおり、幼いころから子どもたちにきちんと説明したり、納得してもらうというかかわり方をされてこられたのでしょうね。
それと、お子さんがそれをやることの意味を、自分のやろうとする目的にために必要なんだと理解されているということなんでしょうね。
素敵な親子関係がベースにあるのだと感じました。

これからもよろしくお願いいたします。

2020-06-03 22:05 │ from コハルの爺URL