新「育児の原理」あたたかい心を育てる 1 - かわいがり子育て

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新「育児の原理」あたたかい心を育てる 1

『新「育児の原理」あたたかい心を育てる』(幼児編)

  お母さんへ

 幸せだったなぁと思うのは、

 母親が、要所要所で、ちょこっと

 聞きかじりのことを言ってくれたこと、です。

 それが今でもいちばん有難いです。

 母っていうのは、

 一生自分の心の働きを左右するような

 言葉を教えてくれました。

 母に感謝を捧げつゝ

                       内藤寿七郎

     *********

 週明けです。今日から再び内藤寿七郎先生の本を読んでまいりたいと思います。前回は「 子どもの『花』が育つとき 」という本でしたが、今回は、内藤先生の代表的な育児書「育児の原理」の改訂版です。赤ちゃん編と幼児編に分かれていますが、今回は幼児編を読んでみたいと思います。

 お母さんへという内藤先生のお母さまに対する献辞に続き、新「育児の原理」十二則が出てくるのですが内藤先生のご紹介を兼ねて、この本を読まれる方々にという一文を先に紹介したいと思います。

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   この本を読まれる方々に

                              東京女子医科大学名誉教授

                                     仁志田博司

 育児の神様と呼ばれた内藤寿七郎先生が書かれた膨大な育児に関する書物のエッセンスを一冊の本に纏めて一九八九年にアップリカ育児研究会から発刊された歴史に残る名著『育児の原理』を、二〇一二年に小林登博士が時代の流れにあわせて監修したのが『新「育児の原理Lである。

 百一歳の天寿を全うした先生の生涯は、自らを「私は小児科医ではなく小児科医師である」と自負を籠めて語っていた如く、単に子どもの病気を診る専門家である小児科医を超えて一人の人間である医師として一人の人間である子どもに、同じ目線で真摯に向かい合ってきた人生であった。また先生は「最も尊敬するのは母親である」と言ってはばからず、その著書の巻頭に「母っていうのは、 一生自分の心の働きを左右するような言葉を教えてくれました。」と書いているように、育児において如何に母親が重要であるかを書き記している。本書が巻に数多く出同っている育児書と一線を画しているのは、この子どもと母親に対峙する先生の根底の基本理念が異なっているからである。

 先生は日本小児科医会会長の時に、「小児科医師たる者は代理母という言葉を使ってはならない。たとえ代理で子どもを産んでもそれは代理産婦である。母とは、子どもを抱きしめ母乳を吸わせ子どもに思いを馳せながら女性が母性を育んでなるのだ。」と会報に書かれた。私はそれに感銘を受けてある講演会でそのことを話した折に、最前列に座っていた内藤先生が壇上に上がってきて、「そうだ!」とおっしゃられながら握手してくれたのが私と内藤先生の最初の出会いであった。その後先生には、漫画家の手塚治虫氏とアップリカ創始者の葛西健蔵氏との二人が中心となって活動している「子どもにあたたかい心を育てる運動」を介してお知り合いになる撓倖をえた。

 明治維新の頃に日本に来た西洋人から「最も子どもが幸せな国である」といわれていたのに、バブル経済の後に来日したマザーテレサが「日本の子どもは豊かさの中で不幸である」と語った如く、我国の子どもの心がおかしな方向に向かっている、という心配が「子どもにあたたかい心を育てる運動」の背景にあった。その運動を立ち上げた葛西氏が、内藤先生を単に育児の専門家というレベルを超えた人であると直感したのは先生の部屋に自分が心酔している澤木興道禅師の書を見た時である、と語っていた如く、内藤先生は体が小柄であるが禅僧のようなものに動じない恬淡とした雰囲気を漂わせている方であった。その運動の一環として、子どもの幸せに貢献した人々に与える内藤寿七郎国際賞が一九九七年に創設されたが、その第一回特別賞がマザーテレサに贈られている。

 一九九二年に内藤先生はシュバイツアー博愛賞を受賞している。それは、先生の「子どもにあたたかい心を育む」ことの大切さが世界の共感を得た結果であった。そのアメリカで行った受賞講演会で、聴衆の一人のアメリカ人女性が涙を流しながら壇上の内藤先生に握手を求めたエピソードが、それを物語っている。米国では一九四六年に刊行され改訂を続け世界的ベストセラーとなっている『スポック博士の育児書』(原題『The Common Sense Book of Baby and Child Care』)が有名であるが、その内容が「子どもの自立を促すために子どもをあまり抱いてはいけない」など、働く女性のための子どもを育てる側の目線で書かれている問題点などが指摘され、現在米国版は改訂されたと聞く。子どもへのあたたかい心が大切であることを解きあかしている「内藤育児学」の素晴らしさの証左である。

 小林登先生の最新の脳科学などの知見を加味した監修による『新「育児の原理」』は、内藤先生が私達に残してくれた宝のような育児のバイブルである。本書を多くの母親のみならず、育児に関わる人すべてが手に取り「子どもにあたたかい心を育む」ことが如何に大切であるかを読み取って頂きたい。それが子どもと母親の幸せにつながるだけでなく、相手に思いを馳せる心を涵養して憎しみの連鎖を断ち切り、争いに満ちた世界から人類を救うキーワードになるのである。

     *********

 あらためて、すごい先生だと感じいるばかりです。長いこと子育て相談に関わらせていただいて、日本の子どもたちはしあわせになってきているのだろうか考えるとき、どうもそうではないような気がしてなりません。一昨年までは、児童養護施設で何年か子どもたちと関わってきました。数十年前、児童相談所にいたころ、児童養護施設は恵まれていませんでした。でも子どもたちは元気でした。今、養護施設はモノがあふれています。でも、子どもたちはどこか元気がありません。まさにマザーテレサが指摘した「豊かさの中で不幸である」ように感じます。残念ながら「あたたかい心」が育まれていないように思われます。どこが違っているのでしょう。そんなことを考えながら読んでいきたいと思います。お出かけいただければ嬉しいです。

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