「子どもを伸ばすかわいがり子育て」を読む 39 - かわいがり子育て

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「子どもを伸ばすかわいがり子育て」を読む 39

6章 なぜ親の愛情だけでは子どもは育てられないか (続き)

*小さな子どもでも持っている自尊の感情

与えられたものが大きければ大きいほどたくさん与え合うことができるし、一人で遊ぶよりこんなに楽しかったという経験ができます。だから『〇〇ちやんの家に遊びに連れていって』とせがむようになります。
 こういう経験をしてから保育園や幼稚園に行くのが理想だと思っています。本来はそういう経験が十分にできたあとに幼稚園に行ったのですが、今はそういう経験を保育園でしながら育っていく子どもが多くなっていると思います。
 与えられたものがある子どものほうが、友だちに与えるものが多くあります
 与えるものがある子ども同士が友だちになりやすいのです
 一方的に与えられるだけでは、子どもはあまり楽しくないのです
 小さな楽しみにとどまります。」

 佐々木先生が何度も繰り返すのは、赤ちゃんの頃からどれだけ愛され、相手をしてもらい、多くを与えられるかということにつきますね。

子どもにも、自分も相手に与えている、喜ばせているという自尊の感情『自尊心』があるのです。大きい子どもと遊ぶときは与えられているほうが多いかもしれませんが、だんだん対等になるし、そして小さい子どもと遊ぶときは与えるものが多いとちゃんと実感しています。
 子どもは自分より年上の子どもと遊んでいるときは、ほぼ一方的に与えられるだけでもうれしいのです。自尊心が傷つきません。
 同年代同士になれば、与えるものと与えられるものが等しい価値を持たないと、健康な自尊の感情が育ちません。そういうふうなことができるように、子どもを育ててあげなければなりません。」

 与えられる関係から、与えることができる関係へと変わっていく中で、子どもは自尊の感情、自尊心を育てていくのです。

*保育者と親が信頼し合っていると子どもにも伝わる
「『幼稚園や保育園の環境は昔に比べてずいぶん整えられているのに子どもの遊ぶ力、人間関係を作る力が伸びないのはどうしてでしょうか』
 こんな質問を受けたことがあります。
 それは園以外での遊びが失われたからです。だから園がますます必要になっているのです。
 けれども、園で子どもに人とかかわる力をつけるためには、園の保育者がお母さんととても親しくならないとだめだと思います。お父さんやお母さんと親しければ親しいほどそういう力が伝わるのです。」

 とても大切なご指摘ですが、保育園での相談の中で親とのかかわり方についての相談もけっこう多いですよ。

「子どもはいろんな人の手を通して育てたほうがいいのなら、いろんな人のところをたらい回しにすればいいのかというと、そんなことはありません。自分の親が本当に親しいつき合いをし親しく信頼し合っている大人の手の中で育てられるのがいいのです。
 近隣が大切だというのは、日頃親同士が親しくしている、信頼し合っているのを子どもが見ているからです。親戚のおじさん・おばさんがいいのも親同士がきょうだいで信頼し合っているからです。
 もっと大きいのは夫婦が協力し合うということですし、祖父母がいいというのは、親の親ですからその関係がいいということを子どもは見ていなくてはいけないわけです。
 そういう自分の親が信頼して親しくつき合っているいろんな大人たちの中で育つのがいいのです。」

 まず基本は夫婦の関係です。夫婦が協力している姿をいつも見ている子どもは幸せです。
 子どもの前でいがみ合い、DVにでも発展すれば虐待だとして通告される時代になったということは、夫婦が協力することのむつかしさを示しているのかもしれません。

「私は保育者によく言います。保育者は子どもを朝晩送り迎えに来る親たちと非常に深い交わりをする姿を子どもに見せなくてはなりません。それによって子どもはスムーズに行き来をするし、親の不足を保育者が補うことができるし、保育者の不足を親が補う関係になることができます。
 大人の中をたらい回しにすればいいのなら、こんなに簡単なことはありませんが、そうはいきません。その子どもを中心にして、大人同士が信頼し合っているかどうかが決定的に重要だと思っています。
 ですから三世代の家族の中で育てば何でもいいのではなくて、祖父母と親との関係がよくなければなりません
 隣のおばさん・おじさんと自分の親との関係がいいということを子どもがよく見ていて知っていなければなりません。
 これは欠かせません。
 これを支援の仕方で言えば、たとえば育児不安で苦しむお母さんがいれば、そのお母さんと支援者が、親しく信頼し合っている関係があることを子どもに見せてあげなければ、いい支援にはなりません。」

 第6章が終わりました。この章もかわいがり子育てがいかに基本であるかの確認の章でした。
 第7章はどんな展開になるのでしょう。お付き合いありがとうございます。
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コメント
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No title

私も、保護者の方とのコミュニケーションを大切にしているつもりですが、そのほうがお子さんたちも安心できますよね。
子どもの問題行動も少なくなって、こちらも指導がしやすくなるというメリットがあるので、保護者の方とはできるだけ連携していけたらと考えています。

2020-06-08 13:07 │ from utokyo318URL

No title

いつもご覧いただきありがとうございます。
本当におっしゃる通りです。
保護者と良い関係を結べるようにしたいと思っています。
ただ、保育士さんの中にはご苦労されている方も見受けられます。
良いお知恵がおありでしたらお貸しくださいな。
よろしくお願いします。

2020-06-08 21:15 │ from コハルの爺URL