「語りかけ」育児 18 - かわいがり子育て

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「語りかけ」育児 18

 9か月から1歳までの 1日30分間 語りかけ育児 (続)
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◆ 赤ちゃんが注意しているものに合わせましょう
 この時期、これは決定的に大切なことです
 物やできごとへ一緒に注意を向けることによって、おとなはことばの学習に最適の条件をつくり出しているのです。ことばは同じことを同じ文脈(前後の関係)の中でとらえていくことによってのみ学んでいけるからです
 おとなとこどもが共通のものに注意を向けた経験が長いほど、こどもの語彙は広がり、後の文法構造の理解力も高まるということが、研究によって確かめられています
 名前の理解についての研究では、こどもが注意を向けているものの名前を言った場合と、おとなが勝手に選んだものについて名前を教えた場合とを比べると、前者のほうが、はるかによくことばを覚えていることがわかりました
 具体的にやってみましょう。手近におもしろそうな物をたくさん置き、赤ちゃんの近くで、向き合うようにします。赤ちゃんが見ているもの、持つものに注意します
「それは、クマちゃん」と名前を言います。あるいはできごとに興味があるようなら「落っこちた」と動きを説明します
 赤ちゃんが見ているものだけでなく、赤ちゃんの心の中のものにできるだけ近づくほど、赤ちゃんには助けになります
 赤ちゃんが本にいろいろ興味を持っているとします。本をかじるのに一生懸命なら「本をかじってるのね」、ページをめくったら「ページをめくって」、絵そのものに興味を示したときは「それは車よ」とぴったりしたことを言ってあげます。やってみてください。ふつうはそんなに難しいことではありません。
 同じように赤ちゃんがお母さんを見ているときも、ちょっとようすを見てください。
 お母さんが何かをやるのを赤ちゃんが待っているようなら、何かを指さしてその名前を言うなり、おもちゃを拾い上げて遊び始めるなりします。その場合、何をしているのかがはっきりわかるように、ことばで言ってあげてください赤ちゃんの注意がそれたら、すぐにやめます。たとえ一瞬でも、赤ちゃんの注意を引き止めようとしないでください

◆ 赤ちゃんが楽しく聞けるようにしましよう
 聞きたい音を選び、聞きたくない音を無視する能力にとって、いちばん大切な時期ですこの3か月の終わりまですべてが順調に運び、望ましい環境に置かれているなら、赤ちゃんはちゃんと聞けるようになります。そうでない場合には、聞くことに関してはかなり困ったことになります。耳が聞こえていないのではないかと疑われたにもかかわらず、実は聴力には何の問題もなかった学齢前の幼児を、私はたくさん見てきました。

    ハリーは1歳近くになってクリニックにやってきました。あたりをぼんやりと
   見回し、話しかける人をみんな無視していました。お母さんでもだめでした。ど
   んなに大きな音の出るおもちゃをさしだされても気にもとめないし、となりの部
   屋でこどもが大声で叫んでも、何のそぶりも見せませんでした。
    実のところ、私もこの子は完全に聞こえていないと思いました。両親も不安で
   いっぱいでした。お母さんにハリーの好きな食べ物をたずねると、クッキーだと
   いうことでした。それからハリーが持ってきたおもちゃの中の特にお気に入りの
   ものは、小さなクマのぬいぐるみだとわかりました。
    私はクッキーをひと袋買ってきて、仕事にかかりました。ハリーの正面にすわ
   り、クッキーをひとつずつ渡し、そのたびに袋をクシャクシヤにして音を立てま
   した。それからクマを使ってゲームを始めました。クマを持って近づき「くるぞ、
   くるぞ…バア」とやったのです。ハリーは両方ともとても喜びました。私はそれ
   からハリーの正面でほかの人に気をひいてもらい、後ろに回ってクッキーの袋で
   音を立て、ときどき右側、左側に回ってごく静かにしゃべってみました。どんな
   に静かに私がしゃべっても、ハリーは、いつでもちゃんと音の来るほうを向きま
   した。
   「語りかけ育児」を4週間行ったあと、ハリーはどんなときでも、まったく正常
   に音に反応するようになりました

耳が聞こえていないのではないかと疑われたこどもが 張力には何の問題もないことはしはしはあることです

    アレクサンドラは私が初めて診たとき、生後11か月でした。かわいい女の子で、
   よく遊び、私にもよくなつきました。ところが1歳近くなのに、6か月児程度の
   短い音節の哺語をつぶやくだけでした。特に目立ったのは、ちっとも聞こうとせ
   ず、声だけでなくまわりの音もほとんど無視することでした。聴力検査では正常
   と診断されていました。
    お母さんによれば、アレクサンドラはしょっちゅう自分ひとりの世界にいるよ
   うに思えるというのです。アレクサンドラは双子で、もう片方の子より弱く、そ
   の上とても活発なお兄ちゃんがいました。おとなとふたりだけの時間を過ごした
   ことがなく、もちろん静かな時間などないことは言うまでもありません。また生
   後3か月から何度も耳の病気にかかったので、聞こえないときがあったのかもし
   れません。
    私たちは聞くことに重点を置いたプログラムを指導しました。ひと月たって来
   たお母さんからの手紙には、すぐに大きな効果が表れ、ぐんとよくなりました
   記されていました。音によく反応し、哺語もどんどん長く複雑なものになり、静
   かな時間にはとてもよく聞こえているというのです。
    1か月後にもう一度診てみると、アレクサンドラの聞く力、出す音、ことばの
   理解はすべて年齢の正常値の中にちゃんとおさまっていました

 この子たちは音と音源をしっかり結びつけることが、できていなかったのです。音の世界全体が何の意味も持たないので、聞くことをやめてしまっていました。手を貸してあげなかったら、学校でとても困ったことになっていたでしょう。
 この時期の「語りかけ育児」では、聞くことは簡単でおもしろいというメッセージを赤ちゃんにたくさん伝えましょう。それにはまわりのうるさい音をなくして、楽しく聞きやすい音を聞かせることです音の出るおもちゃをたくさん用意して、どうやって音を出すかを見せてあげます聞くための時間を与えるのを忘れないように。音と同時に話しかけてはいけません。どうすれば大きな音や静かな音が、違ったふうに出せるか、見せてあげるのもおもしろいでしょう。
 ひとつ、気をつけてほしいことがあります。既製品の音の出るおもちゃ、特にコンピューター制御のものにはとてもかん高い音を出すものがあります。これは、赤ちゃんの耳にはよくありません
語りかけ育児」の時間には動きのついたわらべ歌を取り入れたり、ひざにすわらせて面白い音を立てながらくすぐったりしましょう。赤ちゃんは喜び、声を聞くのは楽しいと思うようになります
聞くことを楽しくするような遊びを続けましょう

「語りかけ育児」の時間以外では掃除機のスイッチを入れたり、呼び鈴を鳴らしたりするときに、決まった音が出るのだということを聞かせてあげるのも、赤ちゃんが音と音源を結びつける助けになります

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 今日は、二つのことがらについてです。一つは赤ちゃんが見ているものや持っているもの、つまり注意を向けているものにあわせてことばをかけることの大切さです。おとなとこどもが共通のものに注意を向けた経験が長いほど、こどもの語彙は広がり、よくことばを覚えていることがわかったといいます。もう一つは、聞くことが楽しいという思いを赤ちゃんにたくさん伝えることについてです。音と音源を結びつけることや、音を聞きながら楽しい体験をさせてあげることなどがあげられています。どちらも大切なことがらとして続けていきたいですね。

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