「育てにくい子」と感じた時に読む本から
先週、3つの保育園にお邪魔して、10数人の園児さんの相談をし、金曜日はコロナのために開かれなかった母子教室が3か月ぶりに開かれて、8人の幼児と8人のママさんと3人のパパさんが来てくださった。
日曜日は、奥様の言う通り畑作業と植木屋さんのまねごとで、よくよく体力を消耗したようで、月曜日出勤したけど咳は出る、体は重いので、午後は自宅に戻り寝ることにしました。
夕飯もそこそこに布団に入ったら、今朝になっていました。熱はないからコロナではないと思うが休むことにして、今日もほぼ一日布団の中。夕方、少し元気が出たので、手近にあった「育てにくい子」と感じたときに読む本をめくりながら、保育園で保育士さんから相談される子どもたちは、まさに保育士さんからみたら「保育士しにくい子」だろうなと思い、ちょっと紹介してみようと思います。
「育てにくい子」と感じた時に読む本から
*巻頭言
手のかからない子がいい子だなんて
そんなのは大きなまちがいですよ。
人生のどこかで、
親は子どもにたっぶり手をかける必要があるんです。
小さいころに手をかけさせてくれる子が
本当はとてもいい子なんです。
佐々木正美
先日紹介した佐々木先生の名言10選に載っていませんでしたね。ぜひ、載せたいです。
昔、どこかで読んだのか、誰かから教えていただいたのか覚えておりませんが、似たような言い回しを聞きました。
「親が一生の間に子どもに手をかける量は決まっている。小さいときにたくさんかけるか、小さいときにかけずに大きくなってから手を焼くという形の手をかけるかだ」
第1章 悩み多き時代の子育てだからこそ
本当の自立とは、誰にも迷惑を
かけないことではありません。
頼り頼られお互いさま、そんな
関係を数多くつくれることです。
*「そのままのわが子」に不安を感じてしまうのはなぜでしょう
「『Como』という雑誌で、4年半にわたって読者の悩み相談に答える機会をいただきました。
悩み相談ですから、わが子に何か気になる部分があって、それについて相談のお手紙を書いて送ってくださるわけです。育てにくいとか、がまんできる子にしたいとか、集団になじめる子にしたいとか、さまざまな悩みがせつせつと書かれています。
お母さん方の多くは、『育児は楽しい、子どもはかわいい』と感じながらも、『子育ては本当に難しい』と書いていらっしゃるのです。どの方も自分の子どもを心からたいせつに思い、幸福を願っていらっしゃる。だからこそ、うちの子とよその子を見比べて、『どうしてうちの子だけ、このような行動をとるのか』『どうしてこんなことができないのか』『どうすれば解決するのか』『教えてください』と言うのです。みなさんとてもまじめで、一生懸命です。
そのようなお手紙を読むたびに、お子さんには何も心配はいらないのになぁと思います。心配なのは、お母さんたちです。わが子を愛しているぶん、不安が強いのですね。不安が強いから、いまのわが子のそのままの姿に安心できないのです。子どもに『望むような姿』に変わってもらうことで、安心させてもらおうと思ってしまうのですね。
けれど、お母さんの不安はそのまま子どもに移ってしまい、子どもまで不安定になります。お母さんの望むような子どもにしようとすればするほど、『なってほしくない』方向に向かうのです。これは、どの相談でも感じたことです。子どもを親が変えようと思えば思うほど、うまくいかなくなります。急いでやろうとすればするほど、時間がかかってしまいます。
いちばんいい方法は、子どもを変えようとしないことです。『親が望むような子にしよう』と思うのではなく、『子どもが望むような親』に自分自身がなるといいのです。子どもがしてほしいことをしてあげて、子どもが望まないことはなるべくしないようにする。たったそれだけのことでいいのです。そうすることで、子どもはいきいき笑顔になることができます。成長や発達の早い子も遅い子もいるでしょう。器用な子も、不器用な子もいるでしょう。けれど、その子なりのペースで自信をもって育っていけるようになります。そしてそのような子育てはお母さんにとっても楽なのです。楽な子育てが、上手な子育てなのです。」
なにか、前回の「子どもを伸ばすかわいがり子育て」と違う印象です。お母さんに対する見方が暖かい気がします。
*子どもが子どもらしく笑えなくなった社会にあるもの
「現代の社会は全体に、『子育て力』をなくしていると感じます。母親だけではありません。父親
も、地域社会も、すべての人たちがそうなのです。
戦後、日本はとても豊かな社会になりました。確かに幸福な時代です。わたしは昭和10年生まれですから、この豊かさのもつ価値は十分にわかるつもりです。
終戦のとき、わたしは10才の育ち盛りでした。なのに、食べるものは何もなく、いつもひもじい
思いをしていました。家は貧しく、母はいつも働きづめで、のんびりしている姿を見た記憶などあ
りません。親は、子どもたちを飢えさせていたことで、どれだけ苦しんだことでしょう。
それを思うと、いまの時代はとても幸福です。しかし、この時代に生を受けた子どもたちは、果たしてあの時代の子どもたちよりも幸福なのでしょうか。
ある著名な写真家の方がこうおっしゃっていました。『いまの日本では、子どもたちのいい顔が撮
れない』と。どんな戦渦の中にある国でも、どんな貧しい国でも、子どもらしいいきいきした表情を撮影することはできるのだそうです。でも、いまの日本の子どもたちにカメラを向けても、子どもらしい楽しそうな表情を撮影することはほとんど不可能だというのですね。わたしも同じように感じています。
子どもなんてものは、おなかがふくれて、ゆっくり眠れれば、それだけで満たされるものなのです。そんな幸福を労せずして与えられるわたしたちが、なぜ戦時下の国の子どもたちよりも、暗い表情をわが子にさせてしまっているのでしょうか。
40年近くにわたって、子どもを臨床の立場から見つめてきて、実感します。わたしたちの社会はいま、子どもを育てる力を失い始めているのです。それは、人間関係をつくる力を失っているとい
うことだと思います。」
一転、いまの社会の抱える大きな課題についての指摘です。
*文明社会では人間関係がどんどん希薄になる
「生活が豊かになり、便利になり、平等の社会が実現しても、人はそれだけでは幸せになれませ
ん。何が必要なのかというと、人間関係なんです。助け、助けられる関係、支え合う関係がなければ、人間は幸せには生きられないのです。
しかし、文明社会が発展Lて物質が中かになると、そのような関係はどんどん必要なくなってき
ます。昔なら、調味料が切れたりすると『お味噌を少し分けていただけますか?』とお隣に借りに
行ったものですが、いまならコンビニに行けば買えてしまいます。『少し分けてください』なんて、ずうずうしいと思う人もいるかもしれませんね。『自分は迷惑をかけないから、あなたも迷惑をかけ
ないでくださいね』と、そういう社会になってしまったんです。
同じことが、子育てにも言えると思います。お隣さんと親しくして、何の遠慮もなく家に上がり込めるような社会なら、『ちょつとこの子を預かってくれませんか?』なんて気軽に頼めるかもしれませんね。育児に不安があっても、ちょっと年上の子どもをもつお母さんに、気軽に相談できるかもしれない。おねしょが直らないことで悩んでいても、『うちの子も小3までしていたわよ』と、かっこいい青年に成長したその子を見せてもらえるかもしれない。そんなかかわりが、初めての育児をするお母さんたちを、どれだけ勇気づけてくれることでしょう。
わたしの家内も昔は、子どもをおんぶして、いろいろな家を行き来していましたよ。子どもたち
もいろいろな家に上がって遊ばせてもらいました。わが家に来た子もたくさんいて、夕ごはんをわが家で食べたり、おふろに入っていったこともありました。『どうぞ置いていってください』と、そういう関係が日常的につくられていました。
このようなご近所関係があると、不思議なもので、子どもは伸び伸び育つのです。
戦時下の国の子や貧しい国の子たちがいきいきした顔をしているのは、助け合う心が社会の中に
あるからでしょう。助け合わなくては生きられない不幸な現実もあるのですが、そのような社会のほうが子どもはいきいきできるのだと思います。」
人間が幸せに生きられる社会にしていくために私のできることを考えるということになるのですね。
少し、このまま続けます。明日はまた保育園の相談があります。頑張らにゃ!ありがとうございます。
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2020-06-23 │ 「育てにくい子」と感じたときに読む本から │ コメント : 2 │ Edit