「語りかけ」育児 45
3歳から4歳までの 1日30分間 語りかけ育児
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◆ 毎日、30分間だけは、こどもとしっかり向き合います
ほかのこどもと遊ぶことがとても大切になってきます。遊びのグループや保育園で過ごしたり、うちに遊びにくる友達から学ぶものがとても大きいのです。
それでもあなたとだけ過ごす時間も貴重です。どうぞ続けてください。「語りかけ育児」はことばを学ぶのにいちばん適した場ですし、こどもの注意レベルを理解しているおとなと一緒にいることはとても役立ちます。新しい遊びを考え出す手助けをしたり、遊びの幅を広げてあげるなど、多くのことをしてあげられます。
おとなが、いつも自分の言うことに耳を傾けてくれるし、見守っていてくれるという信頼感は、こどもに大きな安心感を与えます。そのときに、やってはいけないことや、やってほしいことを話し合うこともできるので、ふたりともいらいらしなくてすみます。こどもにとって、何でも質問に答えてくれるおとながいるすばらしさは、たとえようもありません。
こどもにとって何でも質問に答えてくれるおとながいるのはすはらしいことです
◆ 始める前にチェックすること
ふたりだけで静かなところであれば、いろいろな場面が使えます。庭仕事をしたり、窓に植木台を置いたり、小鳥のえさ台を作ったり、料理をするといったことをしながら、お母さんと一緒にいたいと思っているでしょう。散歩や外出もすてきです。
家にいるときには、絵の具や粘上のような創作遊びに使える物や、探索遊びやごっこ遊びに役立つような物を用意しておくのもいいでしょう。
◆ ことばがつっかえる
この時間がこの年齢のこどもにとって大切なのは、もうひとつ理由があります。3歳から4歳の子の半分以上が、同じ音やことばを何回もくり返す時期があるのです。これは頭の中にはいっぱい言いたいことがつまっているのに、それを全部表現するだけのことばを持たないからなのです。言いたいことを言おうと一生懸命になると、くり返しが起きます。
考えることに集中しているため、こども自身はことばをくり返していることにまったく気づいていません。この段階はまったく正常なものですし、こどもの言語能力が発達するにつれて数週間から数か月でおさまっていきます。にもかかわらず、周囲のおとなが不必要に騒ぎ立てたり落胆したりすることが多いのです。こういうとき、どうすればよいかお話ししておきましょう。
知り合いに吃音(どもり)の人がいたり、特に親戚に吃音の人がいると、親はこどもが吃音になり始めたと早とちりして、パニックに陥ります。決してよい結果を招かないのに、よくやってしまうのは、こどもを助けるつもりで「もう一度言ってごらん、ゆっくりね」「話す前に深呼吸して」といったことを親が言い、幸いにも何も意識していなかつたこどもが、くり返しをやめようと努力し始めることです。これがかえつて混乱を、そして吃音を引き起こしかねないのです。
前と同じように、こどもに自分の話し方を意識させないという鉄則が、この時期もとても大切です。
こどもに自分の話し方を意識させてはいけません
コミュニケーションをとる上で何のストレスもない、という状態を経験させ、この時期をうまく通りぬけるために、「語りかけ育児」の時間はとても大切なのです。
こどもは競って話す必要がなく、話す時間がたっぷりあります。じゃまされることもなく、質問に答えさせられたり、何かを言わなければならない負担もありません。おわかりのことと思いますが、「語りかけ育児」のとても大切な原則は、一貫してコミュニケーションの負担を感じさせないことです。だからこそ、「語りかけ育児」をやったこどもはコミュニケーション上手になるのです。
マイケルはちぢれ毛のかわいい3歳でした。お母さんが緊急に診てほしいと言
ってきました。マイケルが吃音になり始めたので、パニックに陥っていました。
お母さんには吃音の兄弟がふたりいて、その大変さをよく知っていました。お母
さんはしよっちゅうマイケルにゆっくりしゃべってと言っていましたが、マイケ
ルがかえって吃音になるようになったと感じていました。
マイケルはおもちや箱にとびつき、ぺちゃくちゃおしゃべりし始めました。言
いたいことがいっぱいあるのは明らかで、あることばを最大15回もくり返しまし
た。自分では全然気づいていないし、お母さんに比べてまったく緊張もしていま
せんでした。
マイケルのお母さんは、これは正常な発達段階だと聞いて救われた気持ちでし
た。数週間後に電話してきて、マイケルはほとんど吃音にならなくなったと言い
ました。
この時期に有効な方法はもうひとつあります。こどもが早口なら、あなたのしゃベる速度をおそくすることです。そうすればこどももまつたく意識することなくゆっくり話すようになります。
こどもが早口ならあなたのしゃべる速度をおそくします
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3歳から4歳までの 1日30分間 語りかけ育児の章に入ります。どの時期の章でも、書き出しはいつも同じですね。この時期になるとこどもの活動範囲がひろがり、人間関係も大きく広がります。ともだち遊びも大切になってきます。それでも、この時間の持つ意味は大きいというウォードさんのお話です。この時期の「語りかけ育児」は、静かなところであれば、いろいろな場面が使えるようですから楽しみも増えることでしょう。この時期に注意しなければならないこともお話されています。それは、こどものことばがつっかえるという状況がよくみられるということと、それについての対応を間違えないようにということです。こどもの言語能力が発達するにつれて数週間から数か月でおさまっていくにもかかわらず、周囲のおとなが不必要に騒ぎ立てたり、「もう一度言ってごらん、ゆっくりね」「話す前に深呼吸して」といったことを親が言いだすことによって、吃音を引き起こしかねないということです。よく覚えておきたいですね。
週末です。コロナ感染者数が少し落ち着いて来たようですが、感染予防に留意され、良い週末になりますよう。今週もありがとうございます。週明けからお待ちしております。
2022-11-25 │ 「語りかけ」育児 │ コメント : 0 │ トラックバック : 0 │ Edit